COLUMN

【アングレーム国際漫画祭特集④】現地レポート/BD作家編

 

おまたせいたしました!


アングレーム国際漫画祭特集、現地レポート編もいよいよ最終回。
前回に引き続き、注目の若手BD作家から大御所BD作家さんまでを一挙にご紹介します。

 

それでは「BD作家編<Part2>」、

続きを読む、からどうぞ。

 

 


* * * 

 

 

 

■ニコラ・ド・クレシー(Nicolas de Crecy)

 

0307_01.jpg   『氷河期』『天空のビバンドム』の著者ニコラ・ド・クレシーさん。

 

  アングレームではなく、前日にパリでお会いしました。
  昨年、京都でのイベントで来日した時にお会いして以来の再会です。

 

とある邦訳準備中の作品のためのインタビューをしてきたのですが、
残念ながら契約前なので、タイトルはまだ秘密☆です。

 

 

0307_02.jpg   ←ヒントはこのサイン色紙!

 

続報をお楽しみに!

 

 

 

■ファビアン・ニュリ(Fabien Nury)

 

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  シルヴァン・ヴァレ(Sylvain Vallée)とのコンビで発表した
  『Il était une fois en France

  (ワンス・アポン・ア・タイム・イン・フランス)』で
  2011年のアングレーム国際漫画祭のシリーズ賞を受賞した

  注目のBD原作者ファビアン・ニュリさん。

 

『Il était une fois en France』は、移民としてやってきたユダヤ人の少年が、
パリの暗黒街を牛耳るマフィアのボスにまでのしあがっていく様を描いたハードボイルドな作品です。

 

ちょっと浦沢直樹さんを彷彿とさせるような絵でもあり、
日本人にもわりと親しみやすい作品のように感じました。これは面白そう......。

 

こちらの公式サイトで、予告動画も見られます!

 

 

 

■シリル・ペドロサ(Syril Pedrosa)

 

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  今回、下馬評では最優秀作品賞の最有力候補と目されていた

  『Portugal(ポルトガル)』の著者シリル・ペドロサさん。

 

  テレビや新聞の取材もひっきりなしに入っていたようで、

  注目の高さがうかがえました。

 

『Portugal』は、創作意欲を失い、ただぼんやりと日々を過ごしていたBD作家が、
故郷のポルトガルを訪ねたことをきっかけに、再び生きる気力を取り戻していく物語。

 

最優秀作品賞こそ惜しくも逃がしましたが、
フランスの大手チェーン書店Fnacにより選ばれるBDフナック賞を受賞してます。

 

ペドロサさんの作品は、「ユーロマンガ」Vol.3に『抵抗』という短編作品が収録されており、日本語で読むことができます。

 

 

 

■エティエンヌ・ダヴォドー(Etienne Davodeau)

 

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  『Les ignorants : Récit d'une initiation croisée

  (未知なる世界へ-BDがワインと出会うとき)』を描いた

  エティエンヌ・ダヴォドーさん。

 

  この作品もオフィシャル・セレクションにノミネートされていた

  今年の話題作です。

 

タイトルの「Les ignorants」は「無知な人たち、門外漢たち」といった意味の言葉で、
ワインの知識のまったくない漫画家エティエンヌ・ダヴォドーがワイン農家を営むルロワ氏を訪ね、
彼からワインについて学ぶ一方、逆にBDを知らないルロワ氏に自分の専門であるBDについて教えるという内容。


お互いにお互いの専門に対して無知だからこそ掘り下げられる知識や制作の裏話が満載の作品。
BDファンにとっても、ワイン好きにとっても楽しめる一冊です。

 

 

 

■フアーノ・ガルニド(Juanjo Guarnido)

 

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  こちらはもう日本でもおなじみ、

  黒猫探偵ブラックサッドが活躍するハードボイルドコミック

  『ブラックサッド』の作画家フアーノ・ガルニドさん。


原作を手掛けるフアン・ディアス・カナレスさんもガルニドさんももともとはスペイン出身の作家さん。
残念ながら、カナレスさんには結局お会いできませんでした。
(ツーショット写真撮りたかったんですが......残念)

 

 

なお、日本語で読める『ブラックサッド』リストは下記の通り。

 

 

  ・ 『ブラックサッド1 黒猫の男』  ※早川書房より単行本で発売

  ・ 『ブラックサッド2 凍える少女』  ※早川書房より単行本で発売(現在、在庫品切中)

  ・ 『ブラックサッド3 赤い魂』  ※「ユーロマンガ」Vol.1-2(飛鳥新社)収録

  ・ 『ブラックサッド 天に唾を吐く』(短編)  ※「ユーロマンガ」Vol.3(飛鳥新社)収録

  ・ 『ブラックサッド 犬'猫'の仲』(短編)  ※「ユーロマンガ」Vol.4(飛鳥新社)収録

  ・ 『ブラックサッド4 地獄と沈黙』  ※「ユーロマンガ」Vol.5-6(飛鳥新社)収録

 

 

ちなみに『ブラックサッド』は、フィギュアなどのグッズもいろいろと売られています。

 

0307_07.jpg   カッコイイ!

 

 

 


■Enrico Marini(エンリコ・マリーニ)


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  「ユーロマンガ」に連載されていた『ラパス-血族の王国』の

  作画家エンリコ・マリーニさん。


取材の申し込みは事前にしていたものの、
なかなかつかまえることができず、ようやくDargaud社のブースでキャッチすることができました。

 

 

ちなみに各大手出版社のブースには、それぞれサイン会を行うカウンターがあり、
その奥には、サイン会の合間に、コーヒーを飲んだり、
取材を受けたりする関係者用の待合室のようなスペースがあります。

 

0307_09.jpg 0307_10.jpg 0307_11.jpg

  

 (写真左) 待合室の中から撮ったサイン会の行列
 (写真中央) 待合室の様子。ここも入れ替わり立ち替わりで、とにかく混んでます
 (写真右) サイン会のスケジュール表。ファンの方たちはこれをメモってサイン会に臨みます

 

とにかく途切れることなく常に誰かのサイン会をやっているので、フェスティバルの舞台裏では

スタッフの方やBD作家さんが「あと5分で出番!」と分刻みのスケジュールで動いていました。

本当に、お忙しいところインタビューやら撮影に応じてくださったBD作家さんには感謝!です。

 

 

 


■ロマン・ユゴー(Roman Hugault)

 

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  イカロス出版から邦訳版が刊行されて話題の

  『ル・グラン・デューク』の作画家ロマン・ユゴーさん。


勝手に年配の方かと思ってたんですが......意外に若かった!
Wikipediaによると1979年7月生まれとのことなので、現在は32歳です。

 

 

ご本人のブログも、見事に航空機関係の絵で埋まってます。
それもそのはずで、ユゴーさんのお父さんも航空機のパイロットだったんですね。

 

ユゴーさんの邦訳新刊『雲の彼方 オドゥラ・デ・ヌアージュ』は3月28日に
同じくイカロス出版から発売予定です。
『ル・グラン・デューク』の前作にあたる作品だそうなので、こちらも要チェック!

 

 

 

■フィリップ・ドリュイエ(Philippe Druillet)

 

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  『Lone Sloane(ローン・スローン)』シリーズで知られる

  BD界の大御所ドリュイエさんです。


  もはや伝説の雑誌となっている「メタル・ユルラン」で

  メビウスさんらとともに活躍されていた方なので、

  日本でもご存じの方は多いのでは。


とにかく一目見たら忘れられないような
クレイジーと言っていいほどサイケデリックな絵を描かれる方です。

 

ご興味のある方はぜひ公式サイトでドリュイエさんの絵をご覧ください。

 


で、絵が絵なものですから、てっきりちょっとヤバめな方かと思ってたんですが(笑)、
これまたびっくりするほどジェントルマンな方でした。

 

最後に投げキッスして去っていったのには驚きました......。

 

だ、ダンディ......!
ドリュイエさん、ダンディ!!

 

 

 

 

フアン・ヒメネス(Juan Giménez)

 

0307_14.jpg   続いても大御所。
  アルゼンチン出身の超人気BD作家ヒメネスさんです。

 

とにかく緻密でデザイン性の高いアートワークと驚異的なデッサン力には定評があり、
画集も何冊も出ているほどなので、
日本でも特にSF好きの方の中にはご存知の方がけっこういるかもしれません。


Twitterでもつぶやきましたが、とにかく目ヂカラがはんぱない方です......。

 

ヒメネスさんの絵をご覧になりたい方はこちらの公式サイトからどうぞ。

 

 

 

さて、ここで重大発表です!

 

 

そんなヒメネスさんの代表作

La Caste des Méta-Barons/メタ・バロンの一族(仮)』シリーズを

今年、上下巻でShoProから発売します!

 

 

*La Caste des Méta-Barons 原書表紙

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アンカル』をお読みになった方ならご存じかと思いますが、
本作はあの殺し屋メタ・バロンを主人公にした『アンカル』スピンオフシリーズです。
原作を手掛けるのは引き続き、あのカルト映画界の巨匠アレハンドロ・ホドロフスキー。

スピンオフ作品とはいえ、これぞまさにホドロフスキーの本領発揮といった迫力の
『アンカル』以上に壮大なスペース・サーガとなっています。

 

ただいま鋭意制作中ですので、発売時期など詳細については追ってお知らせします。

 

0307_15.jpg   乞うご期待!!


 

 

 

 

■ブノワ・ペータース&フランソワ・スクイテン
(Benoît Peeters & François Schuiten)

 

0307_16.jpg   さて、アングレーム特集「BD作家編」の最後を飾るのは、

  昨年末にShoProから邦訳版を刊行した『闇の国々』の著者
  ブノワ・ペータースさん、フランソワ・スクイテンさんです。

 

実際にお会いしてみて、お二人は本当に仲がいいのだなあということがわかりました。

以前、ペータースさんにインタビューをした際に、

『闇の国々』を創作する時は、いつも二人で笑いあいながら、
遊びの感覚に近いような気持ちで作業しているとおっしゃっていたことがあり、

あの複雑なストーリーをそんなふうに作れるものなのか?となかば半信半疑だったのですが、

実際に、目の前で少年のように冗談を言い合うお二人の姿を見ていたら、すっかり納得がいきました。

 


というわけで、ペータースさん、スクイテンさんのお二人に日本のファンに向けてのメッセージをいただきました!
(すみません、会場が騒がしかったため、少々聞き取りづらいかもしれません......ご了承ください)

(追記:画面左側がペータースさん、右側がスクイテンさんです)

 

*【動画】ペータース&スクイテン/日本の読者へメッセージ

 

 

 

以上、「BD作家編」でした!

 

さて、アングレーム国際漫画祭特集、現地レポート編は今回で完結ですが、
アングレーム国際漫画祭に関しては、近日、本年度の最優秀作品賞を受賞したギィ・ドゥリール作、
『Chroniques de Jérusalem(エルサレム時評)』についてのレビューを掲載予定です。

 

どうぞお楽しみに!
 

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