COLUMN

【アングレーム国際漫画祭特集③】現地レポート/BD作家編

 

 

さて、前回に引き続きアングレーム国際漫画祭の現地レポートの後編をお送りします。

 

後編は、「BD作家編」です。

 

超大御所から新進気鋭の注目アーティストまで
話題・人気のBD作家さんを一挙ご紹介!

 

......と、本来なら1回でご紹介する予定だったのですが、
記事をまとめているうちに、1回ではご紹介しきれなくなってしまいました。

 

やむをえず、<part1>、<part2>と、2回に分けてご紹介したいと思います。
(※ややこしいので、この際タイトルも前編・後編ではなく、「会場案内編」「BD作家編」と改めました)

 

というわけで「BD作家編<Part1>」、続きを読む、からどうぞ。

 

 

 


* * *

 

 

 

■バスチャン・ヴィヴェス(Bastien Vivès)

 

0214_01.jpgのサムネール画像   今年、『Polina(ポリーナ)』の最優秀作品ノミネートで注目を浴びた
  27歳の新鋭バスチャン・ヴィヴェス。

 

『Polina』はバレリーナをヒロインにした、非常に繊細で抒情的な作品なのですが、
実際にご本人に会ってみると、フィギュアの熱烈なコレクターで、挌闘ゲームの大ファンという、
かなりのオタ......イマドキの若者でした。いやー意外。


日本の『バクマン。』などのマンガも読んでいるそうで、
『少年ジャンプ』に代表されるような、日本のマンガ連載システムに興味津々なんだそうです。
実際に、BDで日本のマンガの週刊連載のようなかたちが可能かどうか、
実験的に試してみたりもしているとか。いろんな意味でBD界のニューウェーブといった印象でした。

 

 

 

■フィリップ・カルドナ&フロランス・トルタ(Philippe Cardona & Florence Torta)

 

0214_02.jpg

  フィリップ・カルドナさん(左)が作画、フロランス・トルタさん(右)が

  カラーリングを担当しています。

 

ちょっと日本のマンガ風の、親しみやすいかんじの絵柄が特徴。

彼らが手に持っている『NOOB』という本はフランスで大人気のシリーズで、
サイン会には黒山の人だかりができていました。

 

0214_03.jpg   会場には、『NOOB』のコスプレをしたファンの方も。

 

カルドナさんは日本マンガの大ファンでもあり、たびたび来日もしていらっしゃいます。
フロランス・トルタさんとは、大学時代に造形美術と日本語の授業で出会って以来、
ずっと一緒に創作活動をしている唯一無二のパートナーです。

 

カルドナさんは、NHKの『テレビでフランス語』のテキストで作品が連載されていたので、
もしかしたら、ご存知の方もいるかもしれません。

 

 

 

■アレッサンドロ・バルブッチ(Alessandro Barbucci)

 

0214_04.jpgのサムネール画像

  飛鳥新社刊行の雑誌「ユーロマンガ」の連載でおなじみ
  『スカイドール』の著者の一人、バルブッチさん。

  (もう一人はバルバラ・カネパさん)

 

とても陽気な方で、写真撮らせてください!とお願いしたところ、この決めポーズ。

 

 

残念ながらちょっとブレてますが、こんなノリノリのポーズもしてくださいました。

 

0214_05.jpg 0214_06.jpg   イケメン!

 

『スカイドール』は、本国でも「ユーロマンガ」で連載された3巻までが刊行済みで、

現在4巻目を制作中とのこと。
新刊の発売が待ち遠しいですね~。

 

 

 

■アルチュール・ド・パンス(Arthur de Pins)

 

0214_07.jpg

  「ユーロマンガ」第4号に掲載された『かわいい罪』の

  著者アルチュール・ド・パンスさん。


今年のアングレームでは、『Zombillénium(ゾンビレニウム)』という作品で、
子ども向け作品賞(Prix Jeunesse)を受賞しました。

 

0214_08.jpg

 

上の写真で、地面にうっすら残っているカニの絵。
石畳やマンホールの蓋など、アングレームのいろんな場所で見かけたのですが、
実はこれ、昨年のアングレームの時に、アルチュール・ド・パンスさんの

La Revolution des crabes(カニの革命)』という作品のプロモーションのためにペイントしたものらしいです。

 

このカニの絵に限らず、道路へのペイントはいたるところで見かけたのですが、
たいてい無許可でこっそりやっているそう。(そしてゆるーく黙認されています)

 

0214_09.jpg

  今回のアングレームでは、この星型のペイントをたくさん見かけました。

  (カネコアツシさんの『SOIL』のプロモーション?)

 

というわけで、カニのペイントについても、もちろん無許可なので、
アルチュール・ド・パンスさんご本人は「誰の仕業かわからないな。魔法使いじゃない?(笑)」とのこと。

 

※ちなみに『La Revolution des crabes』は、横歩きしかできなかったカニが、不断の努力の結果、

前進することを覚え、ついにカニ界に革命を起こす......という、かなり衝撃的な作品です(笑)。

 

 

 

■トニー・サンドバル(Tony Sandoval)

 

0214_10.jpg

  今年、最優秀作品賞にノミネートされ『Doomboy(ドゥームボーイ)』の

  著者トニー・サンドバルさん。

 

『Doomboy』は恋人を亡くしたギタリストの少年を主人公にした物語。
とても可愛らしい絵柄なのに、ちょっと毒のある描写が印象的な作風です。

 

例えばティム・バートン監督の映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のような、
シニカルなファンタジーが好きな方に、けっこう響くんじゃないかな~と思います。
Les bétises de Xinophixérox』という作品も、こんなにかわいいイラストなのに、内容はかなりダーク。

 

 


■エマニュエル・ルパージュ(Emanuel Lepage)

 

0214_11.jpg

  『ムチャチョ』の著者エマニュエル・ルパージュさん。

  ご覧の通り、赤いストールが素敵な、とてもダンディな方です。

 

 『ムチャチョ』は、今年、飛鳥新社のEUROMANGA COLLECTIONから邦訳版が出版予定なので、

エマニュエル・ルパージュの名前は、今後要チェックです。
かなり読み応えのある内容らしいので、発売を期待して待ちましょう!

 

 

 

■レジス・ロワゼル(Regis Loisel)

 

0214_12.jpg

  「作家編<Part1>」のラストを飾るのは
  2003年にアングレームのグランプリも受賞しているBD界の大御所

  レジス・ロワゼルさんです。


 「タバコ吸いに行くついでならいいよ」と応じてくださり、
サイン会の休憩中にお話を伺うことができました。

 

 

代表作の一つ『Peter Pan(ピーターパン)』は、ディズニー映画で有名なピーターパンのストーリーを下敷きに、
孤児の少年ピーターがいかにしてピーターパンになったのかを解き明かす物語。

 

ロンドンの貧民窟を舞台に、ピーターと彼を取り巻く人々の過酷な現実を描いた傑作です。
ディズニーのアニメと比べると、かなりリアルな絵、リアルなストーリーですね。

 

 

0214_13.jpg   キュートでちょっと色っぽいティンカーベルも登場。

 

 


BD作家さんは、サイン会やメディアの取材などで、フェスティバルの開催中は本当に多忙なのですが、
みなさん、とても気さくに取材や撮影に応じてくださいました。

 

短いインタビュー動画も撮影しているのですが、編集や翻訳にまだもうちょっと時間がかかりそうなので、
そちらは少しずつご紹介していきます。

 

それでは、次の「BD作家編<part2>」をお楽しみに!

 

  • 教えて!BDくん
  • 邦訳BDガイド
新着記事
カテゴリー
アーカイブ
リンク
  • L'INCAL アンカル
  • 氷河期 -ルーヴル美術館BDプロジェクト-
  • ピノキオ
  • レヴォリュ美術館の地下 -ルーヴル美術館BDプロジェクト-
  • 皺
  • 闇の国々
  • follow me
  • find us
  • SHOPRO BOOKS