COLUMN

来年2月公開決定!注目の近未来SF映画『スノーピアサー』はBDが原作!


『殺人の追憶』『グエムル―漢江の怪物―』などの作品で知られ、
その斬新な映像でアジアを代表する映画監督の一人と称される、ポン・ジュノ監督
そのポン・ジュノ監督が、初めてインターナショナル・キャストを迎えて世界に発信する
最新作『スノーピアサー』が、来年2月、日本公開されることが発表されました。

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日本公式サイト:http://www.snowpiercer.jp/
※画像は仏版ポスター

主演は『キャプテン・アメリカ』のクリス・エヴァンス
さらに共演には、ジュノ監督映画の常連ソン・ガンホに加え、
ジョン・ハートエド・ハリスといった錚々たる実力派俳優が名を連ねています。

すでに韓国、フランスで公開され、一大旋風を巻き起こしている本作ですが、
実はこの『スノーピアサー』、なんとBDが原作なんです!

そこで今回は、来年公開の注目の新作SF映画『スノーピアサー』の
原作BD『Le Transperceneige』についてご紹介します!


* * *


『スノーピアサー』の原作『Le Transperceneige(雪国列車)』は
1984年から2000年にかけて、全3巻でカルテルマン社より刊行されたSF作品。
第1巻は、1985年のアングレーム国際漫画祭でPrix Témoignage Chrétien(キリスト教の証言賞)を受賞しています。

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▲Le Transperceneige, T1-3, Casterman, 1984, 1999, 2000
[作]ジャック・ロブ(1巻)/バンジャマン・ルグラン(2-3巻)
[画]ジャン=マルク・ロシェット



以下、本作のあらすじを簡単にご紹介します。


物語の舞台となるのは、大寒波によりあらゆる文明が消滅した近未来の世界。
一面、雪と氷に閉ざされた白銀の世界を、一台の長い長い列車が走っている。

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▲スノーピアサー

文明が崩壊した世界で、唯一生き残った人々が暮らすこの列車〈スノーピアサー〉には
歴然たるヒエラルキーが存在している。
先頭車両に行くほど、人々は裕福に暮らしており、
後部車両では貧しい人々がおよそ人間的ではない生活を送っていた。

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▲地獄のような後部車両の生活

ある時、一人の男が後部車両から先頭車両への侵入を試み、警備兵に捕らえられた。
この男が、物語の主人公プロロフだ。

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▲プロロフ

司令部まで連行されることが決まったプロロフの元に
アドリーヌと名乗る一人の女性がやってくる。
慈善活動グループに所属する彼女は、プロロフを通じて
後部車両で暮らす人々の現状を知ろうとしていたのだ。

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▲アドリーヌ

大寒波が襲い、パニックの中で人々が列車に殺到したあの日......
たまたま家族とともに前方車両に乗り込むことができたアドリアーヌと
家族を失い、たった一人で後部車両に乗り込んだプロロフ。
一瞬の運命のいたずらが、その後の二人の境遇を大きく分けたのだった。
話をしていくうちに、次第に二人は境遇の違いを越えて、心を通わせていく。


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▲大寒波が襲い、人々は逃げ場を求めて列車に殺到した

やがて、車両に広がる謎の伝染病、目に見えて落ちていく列車の速度、
軍部の策謀......と、スノーピアサーの内部で渦巻くさまざまな思惑が明らかになってゆく。

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▲後方車両に比べてはるかに恵まれた環境にある前方車両。
 菜園車両や、食肉の合成工場まである。


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▲倦怠感に包まれた前方車両では、新興宗教に救いを求める者や享楽に溺れる者も。

プロロフは、アドリーヌとともにスノーピアサーの核心へと迫ってゆくが、
その先には衝撃的な結末が待っていた......!


......というのが、第1巻のあらすじです。

全3巻からなる本作は、第1巻で一応の結末を迎えますが、
第2巻、第3巻では、それから十数年後の別の列車の物語が語られ、
この世界そのものの謎へと迫っていく構成となっています。

列車という閉ざされた空間、極限状態の中で描かれる濃密な人間ドラマは、
閉塞感に満ち、全体を通して救いのない悲壮感が漂う作品です。


この原作BDに惚れこみ、
「『LE TRANSPERCENEIGE』との出会いは運命」と語るポン・ジュノ監督は、
原作の世界観を最大限に活かすよう努めながら映画制作を進めたそうです。

先月、映画が公開されたばかりのフランスでも
原作となった『LE TRANSPERCENEIGE』に再び大きな注目が集まっており、
来年2月に行われる第41回アングレーム国際漫画祭では、
作画を務めるジャン=マルク・ロシェットの大規模な展覧会も予定されています。


BDファンとしても見逃せない、この超大作SF映画『スノーピアサー』は
2014年2月7日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他にて全国ロードショー予定です。

来年の公開を期待して待て!!


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