COLUMN

【フランス映画祭2013】長編アニメ『森に生きる少年~カラスの日~』監督来日!


今月6月21日(金)から24日(月)にかけて、
フランス映画祭2013というイベントが東京・有楽町にて行われます。


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公式サイト:http://unifrance.jp/festival/2013/


フランス映画祭は、フランス映画の振興に努めるフランス文化・通信省の非営利の外郭団体ユニフランスが、1993年から主催している映画祭で、今年で21回目を数えます。昨年はエリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュの大ヒット作『最強のふたり』が上映され話題を呼びましたが、今年もフランソワ・オゾン監督の『In the House(英題)』をはじめ、要注目の長編映画が13作品と短編が8作品上映される予定です。

そしてこの度、本邦初公開となるアニメ映画『森に生きる少年 ~カラスの日~(Le Jour des Corneilles)』がフランス映画祭にて上映されることとなり、来日中の監督ジャン=クリストフ・デッサン氏がBD研究会にゲストとして来てくださることになりました!

そこで今回は、この長編アニメ映画『森に生きる少年 ~カラスの日~』についてご紹介致します。



* * *



フランス映画祭では、ここ数年、長編アニメ作品も上映されており、昨年はバンジャマン・レネール、ステファン・オビエ、ヴァンサン・パタール監督『アーネストとセレスティーヌ』が、一昨年はリュック・ベッソン監督『アーサー3』とアラン・ガニョル、ジャン=ルー・フェリシオリ監督『パリ猫の生き方』が公開されました。


今年上映される映画はジャン=クリストフ・デッサン監督の『森に生きる少年 ~カラスの日~』。本作はジャン=クリストフ・デッサンの監督デビュー作で、昨年6月のアヌシー国際アニメーション映画祭で好意的に受け入れられると、10月の一般公開でも多くの動員を達成し、好評を博した作品です。

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監督のジャン=クリストフ・デッサンはフランス生まれ。名門として知られるパリのゴブラン映像学校でアニメーションを修得しており、以前BDfileで『ミロの世界』というBDの作者として紹介したクリストフ・フェレラ氏とは同期だったとか。パリで行われた日本のアニメーター大塚康生氏のワークショップを二人揃って受講したこともあるそうです。

卒業後は、フランスの短編テレビアニメシリーズ『オギー&コックローチ(Oggy et les Cafards)』でキャリアをスタートさせ、『ラッキー・ルーク(Lucky Luke)』の劇場用長編、『ラビの猫(Le Chat du rabbin)』の劇場用長編でアニメ監督(ディレクター)兼ストーリーボードを担当。原作BDを手掛けたジョアン・スファールが監督を務めた『ラビの猫』は、2012年のセザール賞最優秀アニメーション作品賞を受賞しました。『ラッキー・ルーク』も『ラビの猫』も元はBDであり、そういう意味ではBDとも関わりの深いアニメーターといえます。


そんなデッサン監督の初長編監督作となる本作『森に生きる少年 ~カラスの日~』は、ジャン=フランソワ・ボーシュマンによる原作が必ずしも子ども向けではないにもかかわらず、子どもが見ても十二分に楽しめる内容の作品となっています。

主人公は、父親と一緒に森に住む一人の少年。父親はある理由から人間たちを避け、少年とただ二人森で生活しています。ある日、父親が脚に大怪我を負ってしまい、少年は、森に棲む、頭部のみが動物の姿をした奇妙な人物たちに導かれ、助けを求めに人間たちの住む村へと向かいます。

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少年は、文明社会からまったく隔絶された環境に育ち、父親からは「息子」とのみ呼ばれているため名前がありません。そんな彼が、街で初めて父親以外の人間と出会い、同年代の少女マノンと交流するうちに、これまで知らなかった世界を発見していく過程が、本作ではじつに丁寧に描かれます。

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また、少年の父親がかなりのインパクトのあるキャラクターで、森の野生生物よりもはるかにワイルドな彼が、スクリーン狭しと暴れまわる姿は圧巻の迫力。やがて、この父親の秘められた過去が明らかになり、動物の頭部を持つ奇妙な人物たちの正体も解き明かされていくのですが・・・・。この続きはぜひスクリーンでご 覧ください。


自然との共生というテーマを描くにあたっては、宮崎駿作品を強く意識していたそうですが、丁寧な自然描写に加え、印象派の絵画を思わせる美しい色彩が、森や動物たちをいきいきと描いており、少年の成長とともに見る者に爽やかな感動をもたらしてくれます。さらに、俳優のジャン・レノや映画監督のクロード・シャブロルといった豪華な声優陣が作品を支えている点も要注目です。

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ジャン=クリストフ・デッサン監督『森に生きる少年 ~カラスの日~』は6月23日(日)11時から有楽町朝日ホールで上映されます。上映後には監督のトークも行われるとのことですので、ご関心がある方はぜひ会場に足をお運びください。

トーク終了後は、ジャン=クリストフ・デッサン監督がBD研究会に来てくれることになっています。
(※BD研究会についての詳しい説明はコチラ

東京飯田橋にあるアンスティチュ・フランセ東京(旧東京日仏学院)の301号室15時頃から開始予定で、事前申し込みは特に不要です。

フランス・アニメの現在や日本アニメとの相違など、現役アニメーターから話を聞けるまたとない機会ですので、ぜひふるってご参加ください!


(執筆協力:原正人)

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